日本に仏教が伝来したのは6世紀半ば頃といわれ、それとともに仏教建築も伝えられました。それまでの日本建築は掘立柱と茅葺屋根というシンプルなものでしたが、礎石や大きな瓦屋根、柱上に乗せた組物(加重を分散する木組)などを持つ建築物が建てられるようになりました。
寺院の境内には種々の建物がありますが、本堂、講堂、塔は寺院建造物の中でも重要な建物です。本堂はそのお寺のご本尊が安置するお堂、講堂は僧侶が経典の講義や説教をする堂、そして塔は仏舎利(釈迦の遺骨)などを安置する建物です。これらの建築物またはこれらの建築物が集まっている場所を「伽藍」と言い、伽藍の平面的な位置を示したものを「伽藍配置」と言います。伽藍配置には、建てられた場所や時代の特徴が現れています。
四天王寺は、593年、聖徳太子の発願により創建されたと言われる日本最古の官寺です。一番南に中門があり、そこから北に向かって五重塔、金堂、講堂が一直線に並び、これらを回廊が囲む、左右対称の整然とした伽藍配置(四天王寺式伽藍配置)を持ちます。四天王寺ではこれらを中心伽藍と言います。日本に仏教が伝来して間もないころに創建されたので、中国大陸の様式をしているそうです。
先ず一番南側にある中門で、仁王門です。
次は五重塔です。
塔の始まりは釈迦の遺骨を安置し土を盛り上げて祀ったストウーパ(卒塔婆)で、日本に伝来した時には塔(五重塔)の形をし、その中に卒塔婆を入れたものになっていたそうです。したがって、飛鳥時代は金堂より五重塔のほうが重要視されていたようです。現在の五重塔は昭和34年(1959年)に建て替えられたもの(8代目)で鉄筋コンクリート造りです。
金堂の北に位置するのが講堂です。回廊を歩いていると自然に講堂に入ることができます。堂内には、阿弥陀仏如来像(西側、夏堂(げどう))、十一面観世音菩薩立像(東側、冬堂(とうどう)が安置されています。
これらの建造物を囲む回廊も、柱が特徴的な飛鳥様式で建てられています。
また西側、西大門の外から眺めるとこうなります。
伽藍は正確に南北一直線に配置されているそうです。1400年も前の人がどうやって測量したのか、不思議な気がします。
さて、「お寺に鳥居?」とびっくりされる方もいると思いますが、これもれっきとした四天王寺の建造物で、「石鳥居」(いしのとりい)です。1294年に建てられました。神仏習合の名残と言われています。春分、秋分の日には鳥居の中心線に太陽が沈むそうです。
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