高畑町は旧奈良市街地の東に位置し、春日山がすぐそばにある静かな住宅地で、昔は春日大社の神官が住んだ場所として有名です。新薬師寺などのお寺もありますが、今回は、有名な小説家や写真家の旧邸および写真美術館、古代からある小径を紹介したいと思います。
高畑町の地図
1.志賀直哉旧邸
明治時代に活躍した、白樺派を代表する作家のひとりである志賀直哉は、奈良、高畑町に、自分自身が設計した木造二階建ての住宅を昭和4年に建てました。数寄屋風の造りですが、ダイニングルームやサンルームなどの洋風の様式も取り入れられています。この邸宅には当時文化人が多く集まり、芸術論を戦わせたそうです。
2.ささやきの小径
志賀直哉旧邸から北に行くと、春日大社の二の鳥居に通じる、原生林で覆われた舗装されていない小さな道に出ます。これがささやきの小径と呼ばれる、昔禰宜(宮司を補佐する神官)が通勤に使ったと伝えられる小径です。高畑は春日大社の禰宜が住んでいた町で、春日大社に通う禰宜が使った道、すなわち禰宜道が3つあります。ささやきの小径はその1つで、正式には下の禰宜道(しものねぎみち)と言います。全長約500m、道の両側には馬酔木(アセビ)の大木が生い茂っています。舗装されていないので、道は凸凹で、道路上に大きな石が転がっていたり、木の根っこが出ていたりしています。何分か歩いくと石の階段があり、これを上ると道幅の広い歩きやすい道にでました。そこから春日大社まですぐでした。
3.入江泰吉記念奈良市写真美術館
高畑町の新薬師寺のすぐそばにある入江泰吉記念奈良市写真美術館は、奈良が誇る世界的な写真家入江泰吉を記念して建てられた写真専門の美術館です。私は入江泰吉さんの撮った奈良の写真、特に白黒の風景写真が大好きで、こんな写真を撮れるようになりたいと思っていますが、なかなか思うようにはいきません。
建物は黒川紀章により設計され、1992年に開館した美術館です。外壁はガラス張りで屋根は瓦葺きになっていて、展示は地下で行われています。入江泰吉の作品は、入れ替えはありますが常時展示されています。展示室が2部屋あり、他にギャラリー、資料室(図書室)、ハイビジョンギャラリー、ミュージアムショップなどがあり、一階には喫茶室もあります。
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