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奈良の町(1)ーきたまち

 奈良と言えば東大寺や春日大社のような神社仏閣が先ず浮かびますが、古い民家や商家、ずっと続くひなびた土塀などもなかなか風情があって街歩きも楽しいですよ。
 近鉄奈良駅より北側に広がる地域を通称「きたまち」と言います。ならまちや神社仏閣は外国の方を始めとして観光客でいっぱいですが、こちらは地元の人しか見かけませんでした。平地ではない(奈良坂)のでちょっと息切れしますが、天気のいい日は自然も多いので絶好の散歩日和になります。

 では、奈良のきたまちを散策しましょう。

 近鉄奈良駅を降りて、北に10分程商店街の中を歩いていくと、旧鍋屋交番、きたまち案内所があります。そこで地図と、丁寧な解説をしてもらって、きたまち探索に出かけました。

きたまち、まちあるきMAP

この地図の赤い線に従って歩きました。

きたまち案内所(旧鍋屋交番)
 長い間交番としてとして親しまれ、今は案内所として活用されています。奈良には結構大きな案内所が点在し、ここもその1つです。観光客にとても親切です。

奈良女子大
 案内所の道を隔てて西隣には奈良女子大の正門がありました。ちょうど学園祭をやっていたので、ちょっとお邪魔しました。
 奈良女子大学の前身は奈良女子高等師範学校で、明治41年(1908年)に設置されました。記念館は、女子高等師範学校の本館で、重要文化財に指定されています。明治42年(1909年)に竣工した木造二階建ての建物は、竣工以来ほとんど改変されていないそうです(講堂で使われている椅子も当時のままだそうです)。1階には部屋が7つあり、2階は全体が講堂になっていて天井にはシャンデリアが取り付けてあります。この講堂は今でも入学、卒業式、学生の活動の場として活用されているそうです。
 

  • 正門

    記念館の玄関

    一階

  • 守衛室(左側の建物)

    記念館全体

    二階の講堂

    他の校舎

商店街と天皇陵
 奈良女子大を出て、商店街を北に向かって歩いていきました。ここでも散歩する鹿に会いました。立派な門構えの民家や(多分)料亭、昭和のにおいがする商店など、落ち着いた街並みが続きます。民家を改装した美術館もありました。一条通を渡ると佐保川が流れていて、その西側に東大寺を建立した聖武天皇、そして光明皇后の御陵がありました。

  • 骨董品店かな?

    鹿もお散歩

    懐かしい菊の鉢植え

  • 美術館

    由緒ありそうな民家

    聖武天皇御陵

法蓮町
 天皇陵から山に向かって(東北に)歩きました。勾配も急になってきました。この辺りは武家屋敷の名残の土塀が残っています。黄色の土壁は続き風情がありました。行ったのは秋でしたので柿の実がなっていて、奈良らしい風景かもしれません。石でできた塀には石仏が祀られていて他では見かけない光景でした。

  • 石塀なんですが石仏がある…

  • 案内所の人に「ぜひ見て」と勧められた土塀

    奈良と言えば柿ですよね

北山十八間戸と奈良阪計量器室
 次に地図の赤い線と少しずれますが北山十八間戸(きたやまじゅうはっけんこ)に行きました。ここは奈良時代(1240年)に光明皇后あるいは西大寺の僧侶により創建された、ハンセン病患者などを収容、治療する病棟です。わが国最初の慈善事業の救済施設で、江戸時代が終わるまで(1869年)使用されていました。
 この施設の道を隔てて北側には、奈良阪計量器室があります。大正11年(1922年)に建てられたレンガ造りの建物で、浄水場から奈良市に運ばれる送水量を測定する計量器が設置されていました。
 この場所から南側を望むと東大寺の大仏殿が意外に近くに見えました。とても眺めがよかったです。ただ、急な坂道(奈良阪)が続きます。
奈良阪から見える大仏殿(下の建物は北山十八間戸)

  • 土地の高低差、分かっていただけますか。

旧奈良監獄
 明治41年(1908年)に竣工した、ロマネスク様式の赤レンガ造りモダン建築物です。耐震性などの問題により平成29年(2017年)に廃庁しました。しかし同年、建物が重要文化財に指定され、星野リゾートがその保存を受け継ぎ、日本初の監獄ホテルとして活用されるそうです。現在見学できるのはこの正門だけで中には入れません。2026年の春、開業予定だそうです。
正門から工事中であることがちょっとだけわかります。


  • 長い刑務所の塀

植村牧場と般若寺
 旧奈良監獄の裏には植村牧場があります。明治16年(1883年)創業のこの牧場では、手作業で製品を作っているそうです。牛舎も明治時代からのものを使い、乳牛の他、羊やヤギもいます。敷地内には売店やレストランもありました。アイスクリーム、美味しかった。
 この牧場の向かいにコスモスで有名な般若寺の楼門(国宝)があります。行ったのは11月でしたが、寺内にはまだコスモスが咲いていました。

  • コスモスと楼門

    本堂

  • 十三重石宝塔

今在家から手貝町付近
 般若寺から国道を南下して今在家や手貝町付近まで、古い家が道沿いに点在しています。奈良市で最古の農家の一つと言われている旧細田家住宅や、明治時代創業の商家の美しい格子の店構えなど見ていて飽きがきません。屋根に乗っている化粧瓦や大国さん、京都では小さな鍾馗さんが屋根に乗っているのを見かけますが、こんなに大きな屋根の縁起物を見たのは初めてです。二階の格子は日本家屋の象徴のようなものですが、近ごろどんどん減っていっていますよね。


  •           道しるべにカエル?⇒

 いかがでしたか、奈良きたまち。町中ですが自然がいっぱいです。奈良阪から見る東大寺の大仏殿は最高ですね。佐保川沿いはまた歩きたいです。

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