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京都の老舗喫茶店

スマートフォン、携帯電話をお使いの場合、横にしていただくと写真をストレスなく見ることができます。

 京都には大学がたくさんあり、学生や文化人が多く集う街です。大学の近くには多くの喫茶店があり、学生たちは自分の好みの喫茶店に入り浸っています。私も学生時代「スギヤマ」という喫茶店に日参していました。そこには着物を着た優しいおばちゃんがいておいしいコーヒーを入れてくれました。友達もたむろしていて、授業が終わった後、用がなければそこでうだうだと閉店時間まで過ごしていたものです。
 それとは別に、京都には昭和の始め頃から文人墨客に愛された喫茶店がいくつもあります。皆さんはどんな喫茶店をご存じでしょうか?イノダコーヒ、小川珈琲、前田珈琲などはチェーン展開し、全国的に有名ですね。
 今回、京都でも昔からの雰囲気をそのまま残す老舗の喫茶店として知られている喫茶ソワレとフランソワ喫茶室をご紹介します。

1.喫茶ソワレ
 ソワレとはフランス語で「夜会」、「素敵な夜」を意味するそうです。阪急河原町駅の東口北側を出て、高瀬川沿いの道から北を向くと、すぐそこにお店の看板が見えます。お店は1948年(昭和23年)の創業です。創業当時から店内は青い光に包まれ、昼でも夜のような、あるいは海の中にいるような独特の雰囲気が味わえます。青い色は女性の顔を美しく、男性は凛々しく映し出すそうでよ。店内には東郷青児の絵画、池野禎春の彫刻などの芸術品が飾られ、小さな画廊のような雰囲気です。他にも上村六郎、佐々木良蔵、吉井勇などの芸術家や文化人が店の創業にかかわりました。店内にBGMはなく、お客さんの小さな話し声と時折食器が触れ合う音だけで、静寂の中にどっぷりひたることができます。

  • ソワレ外観

    お店は2階もあり、これは1階

    東郷青児氏の「夜会の女」

    1階は青色が支配

    壁の絵画

    2階は外の光が入ります。

    壁の絵画

    2階の天井

    階段の装飾

    幻想的な青

  • 落ち着いたたたずまい

    吉井勇の歌

    1階の椅子は赤

    ブドウのランプ

    ギリシャ神話に出てくる神

    2階の椅子は緑

    外光で見るブドウのランプ

    天井のアーチ

    階段を上がりきった所にバッカス

 ソワレと言えば忘れてはいけないのが、5色のゼリーが入ったゼリーポンチです。このメニューは1975年から登場したもので、2代目店主(現在はその娘さんが3代目を継いでおられます)の妻が考案したものです。紳士の社交場であったこの店に若い女性にも来てほしいという願いから始まったそうです。青い光の中でゼリーがキラキラ輝くこの飲み物はサイダー(神戸産の地サイダー)と甘すぎないゼリーがさわやかで、同時に出していただいたケーキは甘酸っぱくて今まで食べたケーキの中でも抜群のおいしさでした。

  • ゼリーポンチ

  • ケーキ、おいしかった

2.フランソア喫茶室
 フランソアという名前は創業者がフランスの画家、ジャン・フランソア・ミレーが好きで、彼にちなんでつけたそうです。店は、阪急河原町駅の東口を南側から出て、高瀬川沿いに2,3分歩くとあります。創業は1934年(昭和9年)、創業者は労働運動の活動家で、戦時下の言論統制など不自由な環境下に、誰もが平和や未来、文学、芸術について語り合える場所を提供するという信念で創ったそうです。豪華客船を思わせるような造り、蓄音機からはクラシック音楽が流れ、壁には芸術的な絵画がかかっている創業当時の空間は、今でもそのまま残されています。清楚な制服が可愛らしい。現在は昔からのもの(写真手前)と、最近新調したもの(写真奥)の2種類があるそうです。建物は江戸時代からあった町屋(高瀬舟の船頭さんが住んでいた長屋)を買い取って、現在の南欧風に改装したそうです。建物は喫茶店として初めて国の登録有形文化財に指定されています。現在、北側と南側に一つずつ部屋がありますが、南側の部屋は戦後の一時期、ミレー書房としてそのころ入手困難な洋書や哲学書などを販売していたそうです。

  • 建物の外観は南仏を思わせる白基調

    南側の部屋の窓

    北側の部屋

    ステンドグラス越しの朝の光

    ギリシア建築で使われる柱のよう

    かわいい制服

    創業当時からいるフクロウ

    南の部屋

    大きな戸を開けると中庭があります。

  • 店の入り口

    落ち着いた雰囲気

    右下に見える創業当時からあるガスランプ

    豪華客船の中にいるような

    あるいは教会の中

    大きなステンドグラス

    こちらの部屋が少し明るいかも

    ステンドグラスの向こうは厨房

    壁に張った瓦には落書きが

 メニューに描かれているかわいらしい女の子のモデルは、今の店主の子供時代のようです。サンドイッチはメニューにはないのですが、今回特別に出していただけました。卵サンドの卵はだし巻き卵のようで、今まで食べたことがない、胃にやさしいおいしい卵焼きでした。なかなか手がかかるそうで、今はメニューから外されているそうです。お店のマッチも今はないそうです。とてもシックでお店の雰囲気を醸しだしているので、ちょっと惜しい気がします

  • フランソワのメニュー

    幻のサンドイッチ

    桃のケーキ

    チーズケーキ

  • 可愛い色使い

    カフェオレ

    幻のマッチ

 喫茶ソワレもフランソワ喫茶室も年配の人にとっては見慣れた喫茶店ですが、「このような店は日本独特のようです」とフランソア喫茶室の店主がおっしゃっていました。そう言えば、スターバックスのようなアメリカ系のカフェとは雰囲気は違いますね。喫茶店は、ヨーロッパのカフェやティールームを取り入れたのが始めだと思いますが、日本で独自に進化したようです。ヨーロッパのお客さんでも、「自分たちの国のカフェとは雰囲気が違う」と言われる方が少なからずおられるそうです(そして、とってもいいと絶賛されるそうです)。昔ながらの喫茶店は、上の2つの喫茶店を見ても分かるように、個性が強く出ています。昔の喫茶店では、客は、飲み物や食べ物を楽しむことはもちろんですが、それ以上に(気に入った)店の雰囲気にどっぷりと浸る(例えば、ジャズ喫茶、クラシック(名曲)喫茶など)ことを目的としていたような気がします。そういうところが日本独特と言われる所以でしょうか。そう言われた店主も詳しいことはわからないそうです。

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