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東寺ー真言密教の根本道場

 東寺は、京都市の九条通りの北側、大宮通りと壬生通りにはさまれた、東西255m南北515mの長方形の境内を持つ大きなお寺です。平安遷都に伴い、朝廷は、平安京の正門である羅城門の東西に都や国を鎮護するために796年に2つの官営寺院、東寺と西寺を建てました。823年に当時の天皇(嵯峨天皇)は、そのうちの1つ東寺を、唐で新しい仏教である密教を学んで帰国した空海(弘法大師)に下賜しました。それ以来東寺は、真言密教の根本道場として栄えてきました。空海が実際に建てた境内の建物は地震や火災でなくなっていますが、すぐに立て替えられ、今日我々が目にする建物は、空海が計画した通りの姿、建築様式を残しています。
 日本に仏教が伝来したのが6世紀半ば頃と言われ、それから300年ほどたって、時代や宗派の特徴を表す伽藍配置も、伝来時に建てられた四天王寺や法隆寺、その後の薬師寺、東大寺ともまた違ってきています。
*伽藍:お寺の建物、またはその建物が集まった場所

 東寺の伽藍配置は、南大門から北にある北大門に向かって、金堂、講堂、食道が一直線に配置され、東南の角に五重塔があります。金堂、講堂、食道の三つの伽藍は、それぞれ、仏(ぶつ)(ご本尊を安置)、法(ぽう)(密教の教えを表現)、僧(そう)(生活の中での修行)を表しています。この仏法僧は三宝(さんぽう)といわれ、仏教で大切な三つの宝を表しているそうです。

 では、東寺をこの伽藍配置に沿って南から見ていきたいと思います。

南大門
 九条通りに面する南大門は東寺の正門で、幅18m、高さ13m、重要文化財に指定されています。この門は、もともと、三十三間堂の西門として1601年(桃山時代)に建てられたものでしたが、1895年(明治28年)、ここに移築されました。

九条通りから見た南大門。後ろには五重塔が見えます。

  • 九条通りから見た南大門

  • 境内から見た南大門

金堂(本堂)
 国宝に指定されています。796年の東寺の創建時、最初に工事が始まったのがこの金堂で、空海に下賜された時には完成していたようです。中にはご本尊である薬師如来と、日光菩薩、月光菩薩が安置されています。最初に建てられた建物は、1486年(室町時代)に起きた土一揆により焼失しました。(この時、南大門も講堂も焼失したそうです。)現在見られる建物は、1603年に再建されたものです。
 この建物は東大寺の大仏殿と外観が類似していて、中に安置されている仏像の顔を拝顔できるように観相窓がついています。しかし、ご本尊(薬師如来)のお顔の高さと合っていないので、窓を開けても光背しか見えません。これはこの建物が薬師如来を安置するために建てられたものではなかったためと言われています。

  • 観相窓(残念ながらお顔は見えません)

    北面(左側)と西面(右側)

  • 南大門から金堂を望む

    西面(左側)と南面(右側)、後ろは講堂

    東面(左側)と北面(右側)

講堂
 重要文化財に指定されています。この建物は空海により着工され、839年に完成したそうです。空海は、寺の中心の位置に大日如来を安置してこれを宇宙の中心とし、21体の仏像群からなるこの立体曼荼羅により密教の教えを視覚的に表わしました。(この中の帝釈天はすごいイケメンです。)この講堂も1486年に焼失したが、講堂は焼失からすぐ、5年後(1491年)には再建されました。

  • 金堂から講堂を望む。

    北面(左側)と西面(右側)

  • 西面、後は金堂

    東面(左側)と北面(右側)

食堂
 観音堂とも呼ばれ、現在は十一面観音が安置されています。初代の食堂は10世紀の初め頃に完成したと推定されています。その後、地震により倒壊し、1800年(江戸時代)に再建されましたが、1930年(昭和5年)火災により焼失しまし、現在の建物は1933年(昭和8年)に建てられたものです。

五重塔
 国宝に指定されており、新幹線の中からも見える京都のシンボルのような塔です。高さ54.8m、木造の塔として日本一の高さだそうです。初代は883年頃に創建されましたが、落雷や不審火により4回焼失しており、現在の塔は5代目、1644年(江戸時代)に建てられたものです。中には空海が唐から持ち帰った仏舎利が中心柱の下に納められています。

  • 九条通りから望む

  • 大宮通りから望む

 いくつかの候補地を経て平城京から平安京に遷都されたのは、1200年前のことでした。それから長い月日が経過し、東寺と同時期に建てられた西寺や羅城門、さらには大内裏(平安宮)や朱雀大路も、長い時の流れの中に消え、今では跡形もありません。現存する平安京の遺構は東寺だけになりました。東寺は1994年(平成6年)世界遺産として登録されました。

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