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前回は上賀茂神社の境内にある主な社殿をご紹介しました。今回からは上賀茂神社で行われる祭事、神事についてご紹介します。上賀茂神社では年間を通じて様々な神事、祭事が行われています。神社のホームページにその詳細が載っていますが、月によっては10を超える祭典が斎行されています。神官の方々、忙しすぎですね。
さて、その中から今回は蹴鞠について取り上げます。蹴鞠を実際に見るのは初めてで、見る前からとても楽しみにしていましたが、その期待は裏切られませんでした。
2月11日、建国記念日の祝日には上賀茂神社では紀元祭が行われ、同日に空手や剣道などの日本の武道とともに、蹴鞠も奉納されます。皆さんは蹴鞠と聞くと平安貴族の装束、優雅な所作などを思い浮かべると思います。でも、見ているだけでわかりますが、体力がいる球技ですし、ややこしいルールも多々あるようです。蹴鞠の保存会があり、鞠足(まりあし、蹴鞠をする人)は日々練習を重ねているそうです。蹴鞠は球技なのですが、勝敗を争うものではなく、いかに蹴りやすい鞠を相手に渡し、長くラリーを続けるかを大切にするそうです。勝ち負けのない球技とは驚きですね。また同じチームの中に男女が入っていて競技を行います。確かに男女の体力の差が問題にならない競技ですが、男女一緒に楽しめる球技って素敵ですよね。
では、蹴鞠を見ていきましょう。
(蹴鞠の歴史)
蹴鞠らしきものは、4000年近く前の中国、殷の時代の記録に現れるそうです。しかし、明の時代さらに清の時代に禁止令が出て、それ以後中国では姿を消しました。
日本には約1,400年前に渡来したようですが、それが、今日私たちが見ているような蹴鞠なのか、ホッケーやポロのような球技であったのかははっきりわかっていません。蹴鞠は日本で独自の発達を遂げ、平安時代中頃以降宮中において盛んに鞠会が催されました。蹴鞠に関する種々の作法が完成したのは鎌倉時代です。室町時代を経て江戸時代に入ると、徐々に一般庶民にまで普及していきました。しかし江戸幕府は、庶民の娯楽に対しての蹴鞠への締め付けを厳しくし、それによって鞠の需要が減り、鞠司が廃業していき、鞠作りの技術も伝承されなくなっていきました。明治維新以後、蹴鞠は一旦途絶えてしまいました。しかし、明治36年(1903年)、有志による保存会「蹴鞠(しゅうきく)保存会」が結成されました。さらに2018年には「けまり鞠遊(きくゆう)会」もでき、国内並びに世界に向けて蹴鞠の普及活動を行っているそうです。
(蹴鞠をする場所)
蹴鞠を行う場所は鞠庭(まりにわ)などと呼ばれ、一辺が14mの正方形の砂が敷かれた地面です。その四隅に桜(東北)、松(北西)、柳(南東)楓(南西)の式木(しきぼく)が立てられます。式木は蹴鞠の神様が宿る依り代だそうです。
(蹴鞠で使われる鞠)
鞠は鹿革製で、直径約20cm、重さ約120gです。鹿革を裏返し(毛が鞠の中)にして2枚つなぎ合わせ、腰皮という硬い皮(馬の皮を使いことが多い)で境目を2周縫い合わせて作ります。ただ、その製作方法は口伝しか残っておらず、現在この口伝製法を踏襲しているのは、国内でただ一人だそうです。
(装束)
蹴鞠を行う時の装束は蹴鞠装束と言われ、鞠足の階級によって烏帽子の種類や装束の色や文様などが決められています。烏帽子は立て烏帽子、上着は鞠水干(まりすいかん)、ズボンは葛袴(くづばかま)、靴は鴨沓(かもぐつ)と言います。
(蹴鞠の開始)
蹴鞠は通常鞠装束姿を着た8人(6人の場合もある)の鞠足で行われます。位に従って順番に鞠庭に入った鞠足は円陣を作り、先ずみんなで鞠の調子をみて、それから球技に入ります。
(球技)
鞠を蹴る時、他の鞠足の足や体を蹴るなどの事故をさけるために、受け渡しの合図である「アリ」「ヤア」「オウ」と声をかけます。この合図は鞠の精とされる「夏安林(げあんりん)」「春楊花(しゅんようか)」「秋園(しゅうおん)」に由来するそうです。
また、蹴る時のフォームは、上半身は動かさずに、右・左・右とすり足で移動し、3歩目の右足で蹴ります。足の裏を見せず、膝を伸ばしたまま、できるだけ地面に近い位置で蹴るのが良いとされています。さらに、精神的な心得もあり、難しい鞠が飛んできても、顔には出さずのどかに蹴っているように見せる、観客が退屈しないよう面白く蹴る、不機嫌な顔は決して見せないなど、なかなか大変です。
(ラリー)
前述したように、蹴鞠はいかに鞠を落とさずに続けるかを楽しむ球技ですが、着ている装束や靴、鞠を見てもいかにそれが難しいか分かると思います。でも、この日、保存会の方々は日頃の練習の成果を見せてくれました。ラリーが続くと場内はシーン、その中で、「アリ」「ヤア」「オウ」という掛け声が響き渡っていました。(写真では、1から10の順番でラリーが続きました)










































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