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尼崎大覚寺の節分会

2月3日は節分でした。節分とは各季節の始まり(立春、立夏、立秋、立冬)の前日のことを言い、季節を分ける、季節が変わるという意味です。ですから、節分は年に4回ありますが、春は1年の始まりとして特に尊ばれたため、いつのまにか節分と言えば春の節分だけを指すようになりました。
昔の人は季節の変わり目(節分)には邪気(鬼)が生じると信じていたため、それを追い払うための行事を行なっていました。その一つが豆まきです。病気や災害など悪いものはすべて「鬼」の仕業だと考え、鬼を退治する効果がある豆を投げて鬼を追い払い、福を呼び寄せる行事です。
豆まきは各家で行われ、子供の頃、家の中に潜む鬼を出ていかせるために家の中のいろんな所で父親が豆をまき、子供はその後をついて回って、父が豆を投げるたびに「鬼は外、福は内」と一緒に大声で叫んでいた記憶があります。最近は、お父さんが鬼で、「悪い子はいないか」と外から家の中に乱入し、子供は泣きながら(鬼が怖いから)「鬼は外」と豆を鬼(父)にぶっつけているようです。なまはげとごっちゃになっているように思います。
豆まきは家庭でも行われますが、神社仏閣でも行われます。裃を着けた役者さんや綺麗な舞妓、芸子さんが高い所から豆を撒き、その模様は毎年テレビでも放送されます。神社仏閣では、豆まきだけでなく、神楽や舞の奉納など様々な節分行事が行われます。尼崎にある大覚寺も節分行事で有名です。
今回は尼崎の大覚寺で行われる節分行事をご紹介します。

阪神尼崎駅から南西に5分ほど歩くと11の寺が集まった寺町があり、大覚寺はその中にあります。寺町は、江戸時代初期、尼崎城築城の予定地にあった寺院を移築し、一か所に集めて造られた町です。喧噪な下町風情いっぱいの尼崎駅界隈の中で、この一角だけ静かで落ち着いた雰囲気を漂わせています。
大覚寺は、現存する尼崎最古の古刹で、605年聖徳太子が命じて造らせた灯炉堂を1275年に寺として再興されたのが始まりだそうです。
節分会では豆まきの他、「大覚寺身振り狂言」や「芦刈からくり人形」が上演され、からくり人形によるおみくじや御朱印の販売も行われます。これらは一年に一回しか行われず、当日はたくさんの人で賑わっていました。

1.芦刈(あしかり)からくり人形
境内にある「芦刈からくり堂」でからくり人形の人形劇が上演されました。ここで使われるからくり人形は、能面の制作技法による「頭(かしら)」、人形が変化する「仕掛け」、木製の歯車など、江戸時代からの伝統技法を忠実に守って作られています。一方、人形を動かす動力は、熟練した人形使いによる糸を引っ張る操作の代わりに、コンピュータ制御のエアシリンダーが担います。伝統技法と尼崎のものづくりのノウハウが見事に合体された姿です。
人形劇は、世阿弥の能楽「芦刈」を題材にし、三体のからくり人形で構成されています。物語の主題は、和歌の徳よって夫婦がめでたく再縁を果たすということで、そのあらすじは、摂津の国の日下の左衛門は故あって夫婦別れをし、妻は都に行き、安定した生活を送っていました。ある日妻は里帰りし、夫の行方を尋ねました。そこへ落ちぶれて芦売りとなった夫が現れ、妻の一行とは知らず面白く囃しながら芦を売り、芦を手渡す所で妻だと気付き、己の有様を恥じて身を隠します。しかし、妻は夫の心を解きほぐすべく和歌を詠み交わし、別離後の恋しさを語り合いました。その後、夫婦は仲良く連れ立って都へ向かいました。
芦刈からくり堂

  • 山伏

    カラス天狗に早変わり

    主人公の夫

    牛車が登場(中に妻がいます)

  • 牛車から妻が現れる(早変わり)

    歌によって元のなかに(夫の衣装が早変わり)。

    2人で都に行くことにしました。

    めでたしめでたし

早変わりの場面は一瞬で、瞬きしている間に変わっていました。

2.豆まき
 人形劇の上演の後、豆まきが始まりました。豆が数個入った小さな袋を投げてくれます。直接受け取ることはできませんでしたが、足元に落ちた袋を1つ拾いました。

3.大覚寺身振り狂言
 大覚寺では、長い間狂言の奉納は行われていなかったそうです。しかし、昭和の初め、寺に伝わる古文書の中に、天保年間(江戸時代)に記された狂言の「番組帳」が発見されました。そこで、「壬生大念仏狂言」で有名な京都の壬生寺(大覚寺法類)の協力を得て、昭和28年(1953年)から奉納されるようになりました。本堂の前の能舞台で、面をつけた狂言師が鰐口(わにぐち)と締太鼓(しめだいこ)の囃しを伴奏に、セリフなしの身振りだけの狂言が行われます。狂言上演の前に関係者から話の筋を聞いていたこともありますが、とてもわかりやすくて充分楽しめました。私が見たのは十王堂という演目ですが、他にも船弁慶や節分厄払いなど、合計5つも演じられていました。来年は全部見るつもりです。
 十王堂は、船に乗ろうとしていた琵琶法師が、宿の亭主にだまされて金を奪われてしまいます。その因果か、亭主は自分の子供を誘拐されてしまいます。亭主は法師に子供を助けてくれるよう懇願し、法師は弁才天の力を借りて息子を救い出します。亭主は改心し、奪った金で大覚寺に十王堂(閻魔大王らを祀るお堂)を建立するというあらすじです。

本堂横にある能舞台
豆まきや狂言はここで行われました。

  • 琵琶法師

    宿の亭主

    法師を宿に引き入れます。

    金を預かってくれと頼みます。

    大酒を飲ませます。

    ついに酔いつぶれてしまいます。

    亭主はお金をねこばば

    翌朝お金は知らないと言われます。

  • 絶望していると大覚寺に案内されました。

    一方、亭主は息子が誘拐されます。

    取り戻そうとするが、できず

    お金で解決しようとしますが、

    そうじゃないと言われます。

    弁天様の力を借りて

    解決

    亭主は改心します。

4.からくり人形
 「船弁慶からくり御籤」は、尼崎を舞台とする能楽『船弁慶』に登場するカラス天狗の太郎坊がおみくじを運んでくれます。また、御朱印を書いてくれる御朱印からくりもありました。これらは、江戸時代から続く伝統技術で、紐を引いて操作します。技術者に教えてもらいながら自分で操作するのですが、紐が引っかかってなかなか苦労しました。

  • からくり御籤全体像

    豪華な舟、乗っているのは義経、弁慶など

    御御籤を運ぶカラス天狗、結果は小吉でした。

  • 机の前にある紐を操作します。

    中国風です。

    頂いた御朱印です。

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